「美しい日本、この1枚」に掲載するのも迷う、「どろんこ祭り」は日本各地にありますが、この上尾の「どろいんきょ」は、その中でハードボイルドの極地といった祭りです。誰が、こんな祭り、考えたんだぁ~。
祭りで使用される”神輿(みこし)”は、廃材で作られたのではと思わせる無骨な代物です。ふむふむ、神輿とは、もともとこのような物だったのかも知れない・・・・と、無理して自分を納得させるところから、この祭りの見物が始まります。
祭りが行われる地区の各所には、直径6~7mの泥沼が作られています。個人の家の庭も、無残に?泥沼化しています。
この泥沼に神輿が到着するなり、神輿イジメと言っても過言ではない、バトルが始まります。神輿を泥にたたきつけるわ、転がすわ。
神輿を、こんなに無茶苦茶に扱う祭りは、ほかに聞いたことも観たこともありません。
泥沼の周りには、多数の観客とカメラマンがいますが、この祭りを知っている人たちは、皆、泥ハネ対策の雨合羽を着ていたり、カメラマンは、ビニール袋やタオルでカメラを防御しています。
神輿が泥にたたきつけられたときは、泥ハネが4~5mは飛び散っています。
激しい泥バトルが続くと思いきや、突然、泥沼の中央に神輿が垂直に立ちあげられます。泥まみれの男たちが、神輿を支えるなかで、女性の”お多福”が神輿に登り、舞い始めます。
”お多福”を乗せたまま、神輿がゆっくりと回転します。
そうなんだ、これは神事なんだ!古くからの、この地方の人々のいろいろな思いが、この祭りに凝縮されているのだ。