我が家のカメラ機材の棚に、ニコンの古いレンズが何個か転がっています。
転がっているというのは、現在のデジタル一眼レフカメラには装着できないのです。
フィルムカメラの時代で、さらに一世代昔、シャッタースピード、レンズ絞り(光の取り込み調整)、さらにピント合わせは、すべて手動でした。
フィルムの箱には、天気の場合はシャッタースピード250分の1で、絞りは13 とか簡易表があるのです。
露出計なんてものは、当時中学生〜高校生だった私にはとても手に入らない高級品でした。
そののち、カメラが急速に進化し始め、現在の全自動化撮影ができるカメラになったのです。
全自動化のためには、カメラとレンズが情報交換できないとなりません。
レンズが交換できる一眼レフカメラの場合、ボディでシャッタースピード(例えば100分の1)を決めて、適正絞りがF8だったとすると、レンズの絞り(レンズの中の羽)をボディからの指示で動かすわけです。
そのため、ボディからレンズに電気が流れる接点があるのです(今のカメラとレンズは)。
古いレンズは、この接点がありません。
進化の過程で、ニコンは古いレンズが新しいカメラに装着できなくなりました。
でも。かつて名品と呼ばれたレンズを転がしておくのも勿体無い。
昔のレンズは、F1.4なんてものがあります。
お金がない若い頃、やっとの思いで買いました。
夜、暗いところを撮影する時、F1.4を持っているかが、結果に影響したのです。
そこで、思い立ったのです。
今のデジ一眼で使えるよう改造してみよう。
ニコンサービスセンター(銀座)に行った時、聞いてみました。
これが、その改造方法です。
これが、改造したレンズです。
F1.4。かつて自慢のレンズでした。
カメラボディと接するところに、高さ2ミリ弱の山があります。
ここを削るとボディに接続できるとニコンサービスセンターの方が言うのです。
(やめたほうがいいよ、って顔をしていましたけど)
レンズの中に削りカスが入らないようにサランラップで包みました。
削り始めて気がつきました。
オォ、アルミだよって。
最近は、安いレンズはボディが樹脂なんです。
1時間ほどかけてゴリゴリと削りました。
レンズをデジ一眼に、おそるおそる装着してみました。
カチッと音がして装着できたのです。
ひとりで感動。
早速、使ってみました。
ボディの液晶表示には、レンズが装着されていないマークが。
ボディがレンズを認識できないので当然です。
かつて使っていた全手動(シャッタースピード、絞り、ピントを別々に手動で設定する)と同じです。
懐かしい!
と思ったのはほんの瞬間でしたね。
これは、とても実用的でない!
あとは、カメラが今のように進化してくれたことへの感謝の気持ちでした。
さらに、当時はフイルムの感度がISO100(当時はISOではなく ASAと言ってました)でしたから明るいレンズが貴重だったのですが、最近のデジカメはISO6400までメーカー推奨になっています。
F1.4なんて高級レンズでなくても、レンズが多少暗い普及品でも、ろうそくの光で手持ちで十分撮影できるのです。
すごい時代です。