私Takataroは、約10年前に、京都の火祭りの撮影を続けていました。
代表的な鞍馬の火祭、花背の松上げ、広河原の松上げ、久多の松上げを撮影しているうちに、奈良東大寺の二月堂で3月に行われる修二会に行き着きました。
二月堂の見上げるような高い舞台で、巨大な松明を燃やし、下にいる観衆が火の粉を浴びるという、有名な祭りです。
「火祭り」と呼べば良いと思うのですが、二月堂のお水取りと総称で呼ばれています。
「お水取り」ってなんなんだと疑問に思い、調べていくうちに行き当たったのが。福井県小浜市でお水送りという儀式が行われているということでした。
どうやら、3月2日に、小浜市の川に注いだ御香水(ごこうすい)が、地下水となって、10日後に奈良東大寺二月堂で汲み上げられるとか。
あれから早くも10年が過ぎ、その間に、小浜市は米国のオバマ大統領と同じ名前ということで一躍有名になっていました。
ついに、10年の夢が実現し、小浜市のお水送りに行ってきました。
はじめに、2016年の小浜市観光協会作成のパフレットで概要を説明しておきます。
3月2日(毎年)
11:00 山八神事 (場所:下値来八幡宮。見学不可となっていますが、見学可能でした)
13:00 修二会 (場所:神宮寺本堂。 見学不可)
13:00過ぎ 弓打ち神事 (場所:神宮寺本堂前庭。見学可能)
13:30 奉納弓射大会(場所:神宮寺本堂前庭。見学可能)
18:00 修二会 (場所:神宮寺本堂。 見学不可)
19:00 神宮寺大護摩法要(場所:神宮寺本堂前庭。見学可能)
19:30 松明行列 (神宮寺から鵜の瀬。松明を購入して行列参加可能)
20:00 鵜の瀬大護摩供 (場所:鵜の瀬。見学可能)
20:30 送水神事 (場所:鵜の瀬。見学可能)
21:00 立ち直会(なおらい) (場所:鵜の瀬。参加者にお神酒授与)
ざっと、こういう流れで神事が進みます。
神宮寺というお寺の行事なのに、「神事」というところが神仏習合の国、日本なのです。
こういうの、私は大好きです。
そろそろ今日の本題に入ります。
自家用車の臨時駐車場から、1kmくらいのところに神宮寺があります。
神宮寺から緩やかな登り坂を約2kmのところに送水神事を行う鵜の瀬があります。
鵜の瀬から、さらに上り坂を約1kmのところに小学校跡地があり、敷地の中に下値来(しもねごり)八幡宮があります。
山八(やまはち)神事は、この場所であります。
パンフレットには見学不可となっていますが、部屋の中の綱(ツナ)で仕切られた中(結界)に入らなければ、見学することができました。
神宮寺の僧侶が念仏を唱えます。
暗い部屋の柱に、左の柱に「山」、部屋の中央の丸柱に「八」と描かれています。
念仏が終わると、不思議な儀式が始まりました。
関係者だけかと思っていたら、結界の外側にいる見学者も同じように儀式に参加するものでした。
その後、2名の男子が、さきほどの赤土をお神酒で練った泥を、柱の「山」と「八」の上に重ね塗りをします。
何が行われるのか知らずに来ていた見学者(約10名ほど)は、おそらく私と同じ感想を持ったもではないかと思います。
それは、「何なんだ、この儀式の意味は。」という、秘密の儀式に参加したような不思議な感覚。
そして、結界の中だけで行われるものと思っていたところ、見学者までが同じ儀式に参加できたという不思議な感動というか仲間に入れてもらったという感動!。
これを、全国的に発信したいと思い、詳細なレポートになった次第です。
夜の「お水送り」を撮影に来て、考え方によっては、もっとすごい経験ができたと思えました。
山八神事が行われる下根来八幡宮の場所