五穀豊穣と子育てを祈願する奇祭
千葉県四街道市の和良比皇産霊神社(わらびみむすびじんじゃ)で、毎年2月25日に奇祭「はだか祭り」が開催されます。
「はだか祭り」が正式な呼び名ですが、別名「どろんこ祭り」とも呼ばれます。
この祭りは、神社の神田(しんでん)と呼ばれる水を張った泥沼で締込み姿の男衆が、神事としての泥遊びをするものです。
目的は、五穀豊饒と子供の無事成長を祈願するものです。
神田は、神社本殿から、坂道の参道を100メートルほど下ったところにあります。
今でこそ住宅地に囲まれていますが、昔は田畑か山林に囲まれた場所だったと想像できます。
祭りは子供参りから始まる
午後1時、神社本殿からはだかの男衆が参道を下ってきます。
数十人の男衆の中には、1歳未満の幼児を抱きかかえている者がいます。
男衆は、次々に神田に入って行きます。
2月ですから観客は皆さん冬服の時期です。
男衆は。ハチマキにさしていたワラを神田の泥に刺して行きます。
五穀豊饒を祈念する印です。
一方、幼児を抱いた男衆は、神田の泥を幼児の顔に付けています。
神田の泥を顔につけることで、厄除けになり、子供が健やかに育つという祈願です。
この男衆の神田入りは三度繰り返されます(本殿を3度往復)。
以前は、子供参りも三度繰り返されていたそうですが、酒に酔った父親が、幼児を泥の神田に落としたという事件があったため、現在は最初だけになったと祭り参加者の方からお聞きしました。
泥の神田で騎馬戦
神田入りでは、騎馬戦が始まります。
なぜ騎馬戦なのかはわかりませんが、はだかの男衆は楽しくて仕方ないという子供のような表情になっています。
騎馬戦の後は、泥水の中で泥の掛け合いです。
以前は、観客にも泥が飛んできたそうですが、現在ははだか同士だけになっています。
観客は顔に泥をつけられて喜ぶ
泥まみれの男衆が引きあげる時、神田を囲んでいる観客たち、特に子供達は顔に泥を付けて欲しいとねだります。
泥を付けられた子供達は、大喜び。