辻回しを、少しズームアップしてみます。
巡行が始まる前に、鉾に積み込まれる割り竹です。
一本一本、先が削られて尖っています。
四条河原町の交差点中央付近に鉾(ほこ)が曵(ひ)かれてきます。大きな車輪の下に、割り竹を敷きます。
車輪(前輪)の下に、隙間無く割り竹を差し込んでゆきます。
割り竹の上を、車輪を滑らせるため、水も撒かれます。
ちなみに、割り竹は、道路が舗装されるようになってから使用されるようになったようです。それ以前は、樫(かし)の丸太を利用していたとのことで、時代とともに、変わることもあるようです。
同時に、直径2m近い車輪にロープをかけます。鉾の向きを変えるには力学的に最も効果的な方法かと思います。
準備ができると、音頭取り(鉾の全面に立って扇子で合図をする人)の号令で、曵(ひ)き手がロープを曵きます。
一度に90度曲がるのではなく、車輪に負担がかからないように、だいたい3度目に90度になるようにします。
時々、一度で45度くらいまで回ることがあり、ひやりとした観客が大きくどよめきます。
鉾の前に立つパイロットでもある音頭取りは通常2名ですが、鉾によっては、辻回しの時だけ4名になることもあります。
船鉾(ふねほこ)です。形が特殊なので、つい撮影に力が入ってしまいます。
この「辻回し」は、四条河原町交差点の次に、御池通河原町交差点、次に御池通新町交差点で行われます。
この辻回しに時間がかかるため、巡行のスピードは歩くより止まっている時間が長く、おかげで観客は豪華絢爛な山鉾を、目前で十分観察できるわけです。
鉾にハンドルが付いていて、交差点をするりと曲がることができたら、山鉾巡行は、あっという間に通り過ぎてしまい、優雅ではないだろうななどと馬鹿なことを考えてしまいました。