五山送り火は、先祖の精霊(しょうろう)が黄泉(よみ)の国に帰るのを見送る儀式です。
お盆を現世に戻って家族とともに過ごした精霊が、無事に黄泉の国に戻れるよう、帰り道の足下(あしもと)を明るく照らして送り出す。これが送り火です。
なんと壮大で盛大な儀式でしょう。
では、精霊は、お盆の前の何時(いつ)現世に戻って来たのでしょうか?
それは、過去のこの記事を思い出してください。
「六道珍皇寺の迎鐘(むかえがね)」
http://kono1.jp/landscape/landscape1635
疑問には、ちゃんと答えがあるのです。
さて、いよいよ送り火の着火時間 午後8時が近づいてきます。
京都のビルオーナー達は、お客様をビルの屋上に迎えて、五山送り火鑑賞会を開催します。
参加者は、全国からやってきます。
五山送り火は、それぞれ鑑賞スポットがあります。
大文字を最も近くで見るには、吉田山緑地や京都大学近くだと思いますが、雰囲気も楽しむという点では、今出川通と鴨川の交差する賀茂大橋西岸ではないでしょうか。
今出川通の東端が銀閣寺で、その上に大文字が輝きます。
鴨川西岸には、夕刻になると多くの人が集まります。
午後8時、それまで京都市内に明るく点灯していたビル屋上のネオン看板が次々消灯します。
送り火鑑賞をする人々は、暗い東山の稜線を静かに見つめています。
大文字の方角に、チラチラと明かりが見えると、ざわざわと「点火した!」とささやき声があちこちで聞こえます。
(この鑑賞会の写真は、合成です。午後8時になると、この会場の照明も消され、薄明かりだけになりました)
烏丸御池からは、大文字を斜めから見ることになります。
今出川河原町交差点付近のビル屋上からの風景です。
鴨川と賀茂大橋、そして今出川通の正面に、大文字が輝いています。
送り火は、点火後しばらくは火勢が強く、煙が赤々と照らされ、山火事のように見えます。しばらくして、火勢が落ち着いてくると、文字だけがクッキリと浮かび上がってきます。
「妙法」は、山というより丘のような低い場所にあるため、地上からでは全景を見るためには、かなり近くまで行くことが必要です。
ビルの屋上からならば、遠くてもかろうじて見ることが出来ます。
「船形」と「左大文字」です。
「鳥居形」です。嵯峨鳥居本(さがとりいもと)までの距離は10km以上あります。
各送り火は、点火後30分程度で火勢が衰え、次第に暗くなっていきます。
先祖の精霊(しょうろう)が、空の上から五山送り火を見下ろしながら、喜んで無事旅立って行ったなぁ、、、という厳かな気持ちになります。